八重洲無線のSSBへの取り組み
1級と2級しかなくて、ハードルの高かったアマチュア無線技士の従事者免許に、電信級、電話級の資格が追加され初めての国家試験が実施されたのが昭和34年(1959)です。
これにより飛躍的にハムが増加することになりました。
さらに昭和36年(1961)に新2級ハムに14Mcを含む全バンドが、初級ハムに21Mc帯と28Mc帯のバンドが解放されました。
とは言え世の中はAMの全盛期でまだまだSSBの認知度は低く、関心を寄せていたのは一部の先進的なハムだけでした。
そんな時代に先駆けて1960年(昭和35年)からSSBジェネレーターを販売していたのが八重洲無線です。
八重洲無線のFT-101が登場
八重洲無線がFT-101シリーズを発売したのが1970年の事です。
FT-101S トランシ-バ- 3.5-30MHz AM/CW/SSB 10W 136,500
FT-101 トランシ-バ- 3.5-30MHz AM/CW/SSB 100W 138,000
FT-101が出てくると必ず比較されるのがトリオのTS-520ですが、この時点ではFT-101がかなり先行しておりました。
トリオがTS-520を世に送り出したのは1973年です。
TS-520X トランシ-バ- 3.5-30MHz SSB/CW 10W 114,800
TS-520D トランシ-バ- 3.5-30MHz SSB/CW 100W 129,800
八重洲無線のFT-101とは
FT-101シリーズは爆発的に売れ、八重洲無線の経営基盤を盤石にしたとも言われております。
まだまだ真空管の全盛時代ですので、トランジスターが使われているという事がセールスポイントにもなりました。
終段部以外は半導体化され、目新しさには目がないアマチュア無線家の心をひきつけました。
終段部には前段に12BY7Aファイナルにはテレビの水平出力管である6JS6を採用しました。
それまでちりめん塗装や黒のケースなどが主流だった外観もコリンズに似せた、パネル面の斬新さもセールスポイントに。
回路的にはコリンズのKWM-2に似ていましたが、KWM-2には無い電源を内蔵させて、重くて扱いづらいKWM-2とは一線を画していました。
スピーカー、モニター・スコープ、リニア・アンプなどをオプションで用意して、コリンズに張り合っておりました。
価格的にはコリンズに比べればかなり安価だったので、アメリカでも爆発的に売れました。
爆発的に売れたもう一つの要因がAMモードの搭載と27MHz帯の送受を可能にした事です。
ハムだけではなくCB無線の愛好家にも関心を持たれ大ヒットしました。
これは日本国内においても同様で違法CB無線機として愛好家たちの手にわたって行きました。
回路ごとにユニット化したプラグイン方式の採用により、小型化とメーカーにおける修理は容易になり、ユニット毎の交換も簡単になりました。
プラグインユニット方式を採用した事により、容易にマイナーチェンジが可能になり、S,B,E,BS,ESなどさまざまなタイプのFT-101の登場となりました。
しかしこのプラグインユニット方式は自分で修理をする際には厄介です。
延長用の冶具(延長ボード)が無いと動作状態でのチェックができません。
コリンズ社のR-390Aなどに見られるプリセレクター回路にμ同調機構を採用し、
CBバンド、JJYバンド(10MHz)は水晶を入れるだけで対応できます。
FT-101の主要定格
周波数範囲:3.5~28MHz
・電波型式:AM/SSB/CW
・サイズ:340W×150H×290Dmm
・重量:約15Kg
・電源:AC100V、12V
・最大消費電流:20A(DC12V時)
・最大送信出力:100W
・送信終段名称:6JS6C×2
・受信方式:ダブルスーパーヘテロダイン方式
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