テスター一丁からオシロスコープ、スペアナまで
ラジオや無線機を自作したり、修理をするのに測定器がテスターしかなかった少年時代から比べると、少しは揃ってきました。
テスターからオシロスコープそしてスペクトラムアナライザと測定器が変わると、見えるモノが違ってきます。
テスターではわからなかったところが、オシロスコープではわかるようになります。
オシロスコープでは見えなかったモノがスペクトラムアナライザでは見えてきます。
現用のR3361Aにたどり着くまで
特にマイクロウェーブにのめり込んでより高い周波数となってくるとスペクトラムアナライザは必須となってきます。
しかしとても高価でおいそれと手に入るものではありません。
それでも何とかしたい一心で、ジャンクのYIGフィルターにマイクロ波のデテクターでスペアナもどきを作りました。
YIGフィルターをノコギリ波でスィープさせ、YIGフィルターの直線性と急峻な特性を利用して、X.Yスコープに映し出します。
なんとか24GHzも見えました。
スペクトラムアナライザとは
スペクトラムアナライザの構造
スペクトラムアナライザはスーパーヘテロダイン受信機のようなもので、RFブロックのダウンコンバータで固定のIF周波数に変換します。
IF信号は通常20MHzなどの低い周波数で、そのあと、IFゲインアンプ、アッテネータ、IFフィルタ(いわゆるRBWのことです)、リニアをログに変換するログアンプ、検波器、ビデオフィルタをとおってディスプレイに表示されます。
最近では、IFフィルタ以降にADコンバータを使用して、デジタル処理を行う事が多くなっております。
スペアナを正しく使ううえで重要なのはRFアッテネータです。
RFアッテネータはダウンコンバータのミキサーへ過大な入力が加わらないようにするためにあります。
ミキサー等の損傷を避けるだけでなく過大な入力によりリニアティが損なわれないようなレベルにコントロールします。
過大な入力は厳禁でRFアッテネータ等を焼損するとベラボーな修理代がかかります。
通常適正なレベルは高級機で+3dBm~5dBm程度、低価格機では0dBm以下です。
例えば+10dBmの信号を入力する際には、少なくとも10dBまたはそれ以上のアッテネーターを使用します。
IF部分で最も重要な部品はIFフィルタです。いわゆるRBWのことです。
スペクトラムアナライザでは、 同調している周波数の周囲のどの程度の幅の周波数成分を検波器まで通過させるかは RBW フィルタによって決定されます。
RBWは分解能帯域幅の略ですが、これをコントロールすることにより、管面上に表示されるスペクトラムの分解能を変更することができます。
また、RBWにはノイズフロアを下げる重要な役割もあります。RBWはフィルタですので、帯域が広いほどトータルのノイズ量も増加します。
帯域が狭まればノイズ量も減少します。
このノイズ量はRBWの幅に比例しますので、RBWが1/10になると、ノイズは10dB下がります。
ただし、フィルタには時定数が存在するために、急峻なフィルタは応答速度が遅くなります。
RBWを下げるとスペアナの掃引速度が遅くなる事は良く経験します。
つまり高速に測定したい場合には、スパンを狭くするか、RBWを粗くしなければなりません。
このように、掃引速度とノイズフロアには相関関係があります。
高嶺の花だったスペアナも少し頑張れば、手が届くようになりました。