バブルの申し子ケンウッドのTS-950デジタル
TS-950S デジタルはバブル景気真っ盛りの1989年にトリオから社名変更(1986年)した、ケンウッドから発売になりました。
バブル景気は1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までと言われておりますので、まさにど真ん中です。
TS-900から始まったトリオのフラグシップ機はTS-930⇒TS-940と引き継がれ、TS-950シリーズになりました。
TS-950V トランシ-バ- 3.5-28MHz SSB/CW/AM/FSK/FM 10W 418,000
TS-950S デジタル トランシ-バ- 3.5-29.7MHz AM/CW /SSB/FM/FSK 100W 548,000
同年にヤエスからは
FT-1021X トランシ-バ- 3.5-29.7MHz AM/CW/SSB/FM/FSK 200W 618,000
アイコムからは
IC-760 PRO トランシ-バ- 1.9-29.7MHz AM/CW/SSB/FSK/FM 100W 358,000
が販売されています。
同時期のケンウッドからはV/UHF機のTS-790も販売されています。
TS-950は受信部の性能向上にチカラを注いでいます
TS-950SDは世界初のD.S.P(Digital Signal Processor)を搭載しております。
またIF部をセパレート化した2波同時受信機能(サブ受信機)が搭載されております。
前モデルのTS-940では9分割だったB.P.Fを15分割とするなど受信部の性能向上に力を注いでおります。
15分割した事により12MHz近辺の強い放送局(25メーターバンド)の信号も、TS-940では
B.P.Fが11MHz~15MHzなのでRFアンプ、ミキサーに入力され、混変調の原因となりますが、TS-950ではアマチュアバンド近辺の狭い周波数帯域なので、40dBも減衰されアマチュアバンドには影響を与えません。
B.P.Fとは必要な範囲の周波数だけを通して、他の周波数は通さない(減衰させる)回路のことです。
CW用のフィルターもTS-950S DIGITALには、 YK-88C-1, YG-455C-l, YG455CN1を標準装備しております。
さらにデジタルシグナルプロセッサーDSP– 10,温度補償型水晶発振ユニットSO-2も標準装備しております。
8.83MHzと455KHzの二つのI.F回路にそれぞれ4個のフィルターが入り、いろいろな組み合わせが可能です。
送信部の3rd IMDは-42dBを実現
送信部はSSB,CW,FSKおよびAMがトリプルスーパーヘテロダインで、FMがダブルスーパーヘテロダインになっております。
送信部にモトローラのMRF429×2を50Vで駆動して、余裕の100Wを出力しています。
モトローラのMRF429は1KWクラスのリニアアンプに使用されており、前段をAクラスで動作させたことと相まって、100WPEPでの3rd IMDは-42dBを実現しております。
アナログメーターではありませんが、POWとSWRおよびALCが同時に見られます。
POWとSWRおよびALCが同時に見れるのは、今までのトランシーバーには無い機能でとてもありがたい機能です。
RFスピーチプロセッサーもINとOUTが別々に調整できる本格的な仕様です。
一番下にKEYスピードやVOX関連が小さなVRで配置されており、ここでディレイが調整できるのは、ありがたいです。
NBはTS-850と同様、通常とウッドペッカー用の2種類あり、メイン、サブ受信機それぞれ独立してレベルを調整できます。
しかも、サブのNBトリガーで、メインのNBを動作させることができます。
これは大変な優れもので、サブ受信機をONし、強い局の抑圧を受けないノイズの多い周波数に合わせる事で、メイン側で、とても安定した効きの良いNB動作が可能となります。(この場合、メイン側のNBボリュームは最低の0の位置にします)
ちなみにこの流れをくむ現用機はHF/50MHz帯 トランシーバーTS-990Sで760,000円 (税抜き)です。
ケンウッドの他の記事は👇
無線機類の買取、修理の依頼は川花書房まで