アマチュア無線のマイクロ波入門 | 10GHzまでは何とかなります

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10GHz TRV 基板

マイクロウェーブの魅力

5球スーパー、高1中2に807シングルの送信機に始まった、私のアマチュア無線機づくりも1980年頃にひょんな事からバラクター方式の、業務用逓倍機を手にしました。
まだ真空管式の無線機が全盛期でしたので、それとは違ったバラクター逓倍機の機能美というか、その整然としたパーツの並びに惹かれました。
導波管やアイソレーター等、マイクロウェーブの世界には、真空管とはまた違った魅力がありました。もちろん真空管の灯っているサマも美しいのですが。

マイクロウェーブとは

マイクロウェーブとは明確な定義はありません。
一般的には300MHzから300GHzを指す事が多く、その意味では430MHzもその中に含まれます。
私的には1200MHz帯以上と思っております。

マイクロウェーブにのめり込んでいった理由

マイクロウェーブにのめり込むきっかけになったのは衛星通信でした。衛星通信を始めるには、430MHzのオールモード機が必要なのですが、当時はまだ市販品は販売されておりませんでした。
必然的に430MHzのトランスバーターを作らざるを得なくなり、それ以来マイクロウェーブに夢中になりました。

以後へそ曲がりの性格もあって1970年代の後半はメーカー品がない物(一部三協特殊無線、川越無線、セブロン等では販売していました)を作る事に夢中になり、
1200MHz,2400MHzのアップバーターを作っておりました。

当時はCQ誌よりもモービルハムの方が、マイクロウェーブに力を入れておJH1UGF,JE1AAH,JA7RKBの諸氏が執筆されており、大いに参考にさせていただきました。
JA7RKB十文字OMはじめ八戸各局のユニークな八戸方式もありました。

その後アイコムから1200MHzはIC-120、2400MHzはケンウッドからTM-2400が発売になりましたので、必然的に5.7GHz,10GHz,24GHz,47GHzへと上がって行きました。

10GHzまでならば無手勝流でもなんとかなる

難しいと思われがちなマイクロウェーブの製作ですが、 過去の経験から10GHzまでならば、本格的な測定器は無くてもなんとかなります。
もちろんあるに越した事はありませんし、定量的に測れると全然効率も違います。
ダイオードとメーターだけで簡単なパワー計は自作できますので、用意しておいた方が作業が捗ります。

いろんなバンドのアップバーターを作りましたが、一番多く作ったのは5.7GHz帯です。
いろんなタイプで作りました。
全部では10個くらいは作りました。
一部は西新潟クラブ(JH0YQP)に投稿しております。

10GHzでもいろいろなタイプのトランスバーターを作りました。
NECのBS用ミキサーモジュールを使用したもの、JE1AAH高見沢氏がハムジャーナルに発表されたもの、JA1EPK故大日方さんがハムジャーナルに発表されたもの、その他NECのBS用ミキサーモジュールも素晴らしい性能でしたが、今では入手が困難になりました。

結果最終的にはJA1EPK故大日方さんがハムジャーナルに発表されたものが今でも現用機となっております。
やはり金メッキの基板の出来がすばらしく、簡単に出来かつ安定しておりました。

10GHz TRV
収納したケースは少し大きすぎる気もしますが、プリアンプ等の追加も考慮しました。
前面のスイッチは電源スイッチとレピーターとシンプレックスの切り替え用。
メーターはパワーを表示させる予定ですが、現状では電源電圧の表示になっておりまして、移動時のバッテリーの電圧の監視に使っております。
10GHz TRV 基板
本体は金メッキとスルーホールの素晴らしい出来栄えで、自作ではとても真似はできません。
ダイオードでミックスした後2段増幅で三菱のMGF1402終段です。
10GHz Lo
局発は当時よく出回ったドレークのコンバーターの局発部を改造しております。
水晶をシンプレックスとレピーターで切り替えて、レピーターの送信時に最終的に70MHzシフトするようになっております。
ケースはアルミのチャンネルで自作しておりますので、出来栄えはイマイチです。
2段構造で裏側に2逓倍部があります。
10GHz HPA
パワーアンプはやはりJA1EPK故大日方さんから譲り受けた、アメリカの移動用無線機の一部で、三菱のFETが使用されております。
実測で0.8Wくらいの出力です。
いろいろ自作してみて思う事はスルーホールが非常に重要でまた難しいです。
メッキ線、サンハヤトのスルピンキット等試してみましたが、やはり基板メーカーのメッキのようにはいきません。
基板とケースの接触面が均一にいかず、導電性の接着剤もさがしましたが、簡単には入手できませんでした。

24GHzともなると難易度が格段にUPします

10GHzまでとはガラリと変わりパーツの入手には苦労しました。
0.4ミリテフロン基板、HPA用のFET、コネクター、ダイオード、電波吸収材、アルミくり抜きケース等どれをとっても簡単ではなく、基板はヤフオクでたまに出るロジャーのテフロン基板などなど。

HPA用のFET等はミニマムロットが10個でしかもかなり高価、おまけに飛び込みでは個人は相手にしてもらえず、紹介者を介しての代理店での購入となりました。

富士通のFET flr024fh
ダイオードは1SS105が池田電子、ヤフオクでHS11を入手。
アルミくり抜きケース、電波吸収材もヤフオク。
24GHzともなるとワンボードという訳にもいかず、各ユニットに分けての製作となります。
必然的に同軸コネクターはたくさん必要になってきますので「アールエスコンポーネンツ」がおススメです。
SMAコネクター
画像の同軸コネクターはRS品番 164-8468で規格では18GHzまでですが、アマチュア的にはなんとか使えます。
https://jp.rs-online.com/web/p/sma-connectors/1648468/
秋葉原とか通販で安い 同軸コネクターもありますが、マイクロウェーブともなるとちゃんとしたモノを使用したいものです。
なかにはマイクロウェーブでは全く使い物にならないモノもかなりあります。
24GHzの製作にあたり参考にさせて頂いたのは10Ghz同様JA1EPK,JE1AAH、DB6NT各OMの発表されたもの。
24GHzともなりますと無手勝流という訳にはいかず、測定器はスペアナTR4133、パワー計HP432A、カウンターTR5122等に自作のコンバーター等を加えて行いました。10Ghzまでは比較的楽にできたのですが、24Ghzともなると一筋縄ではいかず、発振等にかなり悩まされました。

47GHzとなると交信相手がみつかりません

24GHzで何局かと交信でき、成行き上47GHzに挑戦。
手始めにOMさんの製作されたトランシーバー(トランスバーターではありません)を入手。
親機部分がアイコムのIC-1201の終段部を取っ払ったものでなかなの力作。

47GHzトランシーバー
以後各種ミキサーを作ってみましたが、1SS105,HS11をはじめほとんどのダイオードが、効率の差こそあれ十分使えました。
結局相手局が現れず、外部ミクサーにスペアナ、カウンターをつないだり、HP432Aでのパワー測定等測定器での確認で終わりました。



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