850と名の付くトランシーバー
850と言えば、今回のヤエスのFT-850の他にもKENWOOD のTS-850 がありますが、他にも杉山電機製作所(現:杉山電機システム株式会社)から 1979年に発売されたF850(S,D)があります。
TS-850はお呼びがかからずに拗ねたまま、現在でもシャックの隅でくすぶっております。(たまには電源をいれてやらないと)
ts-850についてはケンウッドのTS-850は真空管からオールソリッドに進化したトランシーバーに詳しく述べてあります。
杉山電機製作所のF850
杉山電機製作所のF850については珍しい異業種の杉山電機製作所の発売したF-850その他を持ち込み買取に詳しく述べてありますF850は発売された時は驚きでした。
今では当たり前になってきましたが、HF~144MHzをオールモードでカバーし、デバイスもアマチュア無線機では使われていない CATV用の2SC1426をRF増幅に使っておりました。
欲しかったのですがとても高価で断念した経緯があります。
時たまヤフオクに出品されますが、結構高騰しております。
先見の明があったとも言えますが、先見の明がありすぎて世に送り出すのが少々早すぎたようです。
同社は今では完全にアマチュア無線機の販売から撤退しております。
というよりは唯一販売したのが、F850です。
トリオ、ヤエス、アイコムの独壇場だったHF無線機の分野に無線機メーカーとしては無名の杉山電機製作所が参入したのは少し無謀だったのではないでしょうか?
一流家電メーカーのナショナルやNECですら参入はしたものの、すぐに撤退しております。
高価格(20万円超)のせいもあってあまり売れなかったようです。
850と付くものがF850,TS-850,FT-850の3種類もあるのは極めて珍しい事で多分これだけだと思います。
FT-850の修理
今回のFT-850は買い取りしたままそのままになっているうちの一台です。
受信はSSGで測定したわけではありませんが、7MHzを聞いた分には現用のTS-520,FTDX1200,JST-245と比べても遜色はありません。
他のバンドはアンテナがありませんし、最近は波を出した事もありません。
送信出力は100W以上出ておりますが、筐体が非常に熱くなります。
調べてみるとファンが回っておりません。
温度センサーかOPアンプが怪しいのですが、OPアンプは三菱のM5218Lが使ってあります。
探しましたがパーツボックスにSIPタイプのOPアンプは在庫がないので、ここはそのままにしておきます。
あまりファンの音はうるさくないので常時回るようにしておきます。
まだ少し熱を持ちますがこれでケースに触れる程度になりました。
次にリファレンスの調整だが、アレーTP1004が見当たりません。
基板にはTP1004と印刷してあるがピンは立っておりません。
サービスマニュアルがFT-890なので、FT-850とFT-890の違いかな?
半田の痕があるのではずしたのかな !
ピンが無いのでブローブがあてにくいが、取りあえず10.485760MHzに調整。
オプションのTCXOでなくノーマルのクリスタル発振器なので結構周波数が変動します。もっともカウンターも較正してないので、あまりあてにはなりません。
較正したくてもGPSの基準器は売り払ってしまったので、較正のしようがありません。
アナログ放送時代のテレビではカラーバースト信号から正確な基準周波数が取り出せたのですが(ずいぶん古い話)これで取り敢えず使えるようになりました。