1960,1970年代は群雄割拠の50MHz帯無線機のメーカー
オールモード機ではありませんが、比較的人気のあったナショナルのAM/FM機のRJX-601を紹介しますが、その前に各社が50MHzのトランシーバーを発売した年を記しておきます。
年代 | 型名 | メーカー | 周波数、モード、出力 | 定価 |
1960年 | TSR-6A | トヨムラ電気商会 | 50Mc AM 1W | |
RT-1 | 江角電波研究所 | 50Mc AM 1W | ||
1964年 | FM-50P | 福山電機工業 | 50Mc FM 0.5W | 39,000 |
1965年 | FDFM-1 | 井上電機製作所 | 50Mc FM 1W | 32,000 |
TCC-6F | 多摩コミニケ-ション | 50Mc FM 10W | 58,000 | |
FM50-10A | 極東電子 | 50Mc FM 10W | 58,000 | |
TR-1000 | トリオ | 50Mc AM 1W | 27,500 | |
1966年 | A-610 | ライカ電子 | 50MHz AM 10W | 29,800 |
URC-6 | ユニーク無線 | 50MHz AM 10W | 29,800 | |
AFR-6 | 鈴木電機 | 3.5-30/50MHz AM/CW | 19,900 | |
MARKER 6 | クラニシ計測器研究所 | 50MHz AM 1W | 25,00 | |
1967年 | 2M710V | 超短波工業 | 50MHz FM 10W | 59,900 |
OE-6F | オリエンタル | 50MHz AM 1W | 29,500 | |
PANSKY mark6 | 日新電子工業 | 50MHz AM 10W | 36,900 | |
SC-62 | 三協電機商会 | 50MHz AM 2W | 27,500 | |
FRT-605 | 三協特殊無線 | 50MHz FM 5W | 39,500 | |
1968年 | SS-6 | 杉原商会 | 50MHz SSB 10W | 39,500 |
1970年 | ECHO-6 | 協和通信機製作所 | 50MHz AM/FM 1W | 33,000 |
1971年 | CQ-P7100A | 新日本電気 | 50MHz AM/FM 3W | 35,800 |
1972年 | FB JUNIOR | ミズホ通信 | 50MHz AM 1W | 18,800 |
FT-620 | 八重洲無線 | 50MHz AM/CW/SSB 10W | 69,800 | |
1973年 | RJX-601 | 松下電器産業 | 50MHz AM/FM 3W | 34,000 |
ヤエスの50MHzオールモードトランシーバー FT-620B
トリオの50MHz帯オールモードトランシーバー TS-600
アイコムの50MHz帯オールモードトランシーバーIC-551
50MHz帯のSSBが全盛期に発売されたアイコムのIC-505
50MHzの自作派には人気があった | アイテックTRX-501
ナショナルのRJX-601発売の背景
1966年から始まった養成課程講習会の影響もあって、アマチュア無線人口が増えつつあった1960年後半から1970年代半ばにかけては、50MHz帯はHF機に比べて安価な事もあり入門バンドとして、学生達にも人気がありました。
上記のように今では名も知らないような、ガレージメーカーも含めて各社が競っておりました。
トランシーバーでなく送信機としてはこれ以前にも、各社から発売されておりました。
有名どころとしてはデリカの50/144MHz送信機があります。
通常の地表波伝搬では100Km程度ですが、HFと違って50MHz帯はポータブルトランシーバーが多くありましたので、山などロケーションの良い所に簡単に移動でき、さらに交信距離を延ばせます。
夏場のEスポシーズンには300~1500Kmの長距離交信も可能です。
RJX-601の仕様
仕様
周波数:50〜54MHz連続可変(VFO発振周波数:29〜33MHz)
電波型式:AM(A3→現・A3E)/FM(F3→現・F3E)
変調方式:AM=終段コレクタ変調/FM=可変リアクタンス変調
終段/入力電力:2SC1306/12.0V6W
送信出力:3W/1W(切換可)
不要輻射強度:-60dB以上
受信方式:ダブルスーパーヘテロダイン
中間周波数;第1=21MHz・第2=455kHz
受信感度:AM=1.5uV時S/N比10dB以上 FM=1uV時S/N比20dB以上
選択度:AM=5kHz以上 FM=30kHz以上/-6dB
動作電圧:基準DC13.5V(DC11-15V)
消費電力:受信時40mA・送信時700mA(3W)・550mA(1W)
使用乾電池:単2形9本
内蔵アンテナ:ロッド式1/4λホイップ
外部アンテナ接続端子:M型接栓
外形寸法:190mm(W)×65mm(H)×230mm(D)
重量:2.2kg(本体のみ)
先行メーカーの機種より優れている点
先行した他社の機種に比べて、バンドをフルカバーしかつ送受一帯の完全トランシーブを実現。
他機種はVFO(可変周波数発振器)の可変範囲が狭いか水晶シンセサイザの水晶の数が少なく、バンド内を完全にカバーできなかった。
3Wの出力
ポータブル機のうちではCQP-6300が3Wですが、それ以外は1Wでした。
スケルチノイズスケルチを搭載し、AM/FM両モードで動作した。